固定化pH勾配等電点電気泳動ゲルストリップを用いた二次元電気泳動のこつ
日本バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社 木本みゆき

 固定化pH勾配等電点電気泳動ゲルストリップ(IPGストリップ)は電気泳動パターンの再現性が高くゲルの取り扱いが容易なことから、最近二次元電気泳動で多く使われている。特にプロテオーム解析を目的とする二次元電気泳動では、再現性や多検体処理能力だけでなく、ゲル上により多くのタンパク質を単一のスポットとして分離し検出することが求められる。そのためにはできるだけ多くのタンパク質を可溶化状態にするサンプル処理法、IPGストリップの高い分離能、微量スポットを検出できる高感度検出法などが必要となる。
従来のサンプル処理法ではゲル上で複数のスポットが重なって解析が困難であったり、膜タンパクなど可溶化しにくいタンパク質の調製が難しい場合がある。サンプル調製用試薬キット‘ReadyPrepサンプルプレパレーションキット’は3種類のバッファーでタンパク質を溶解性の違いによって順次抽出し、サンプルを3つに分画することでスポットを分離しやすくする。さらに独自のオーバーラップpHレンジ(pH3-6、5-8、7-10)のIPGストリップ‘IPG ReadyStrip’によってpH3-10の分離幅を最大40cmまで広げることができ、これらを組み合わせることで1つのサンプルを9枚のゲルに展開し、分離できるスポット数を増やすことが可能になる。また、最近注目されている高感度蛍光染色剤SYPRO Rubyを用いた‘RUBY GELステイン’について、高感度に検出するポイントとともに紹介する。